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香港の現状と未来

2015.09.22

労働意欲低下は給与が原因?

香港の人材における専門家たちの間で、「現代の香港人は仕事にやる気がなく、スキルも不足している。10年前はそんなことはなかった…」と話題になっているようです。

たしかに、日系企業の間でも、香港人は日本人と比べると遅刻なども多く、勤務姿勢もあまり良くない人が多い、といった噂を耳にすることがあります。

もちろん文化や価値観の違いもあるでしょう。しかし、多くの香港人がやる気を失っているのは、「給料が生活費に見合っていない」という問題が原因にあるようです。

今月発表された、香港全体の月収の中央値は、14,800香港ドルです。日本円で考えると約23万円。さらに香港では家賃や物価がどんどん上昇していて、日本のように会社員が普通に一人暮らしをするのも難しい状況です。

大卒者の月収中央値は23,500香港ドル(約36万円)。これでも香港の生活費を考えると、家の購入や結婚などを考えるのはかなり難しそうです。統計に拠ると、香港で自宅のマンションを買うためには、飲まず食わずで17年間貯める必要があると言われています。

仕事で努力しても、満足した生活ができるほどの給料が支払われないとなると、仕事に対する意欲が下がってしまう。雇用主にとっても、従業員にとっても、辛い環境といえるでしょう。

米国の利上げ見送りにより、残念ながら不動産下落も先延ばしになってしまいました。一刻も早く不動産価格が下がって、仕事に対する意欲を取り戻して欲しいものです。

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2015.09.10

香港金融管理局(HKMA)の為替介入

9月に入り、香港金融管理局(HKMA)が合計約155億香港ドルの香港ドル売り(米ドル買い)の為替市場介入を実施したことが報道された。

通過管理制度において、香港ドルは米ドルと連動する固定相場制(ペッグ制)が採用されているため、1米ドル=7.75~7.85香港ドルの間で固定されるよう香港政府が必要に応じて適時介入を行うことになっている。

香港ドル売り介入が行われてたといことは、香港ドルが大量に買われた、ということになる。

はたして誰が香港ドルを買ったのか?

答えは香港人のようだ。

これまで香港では、人民元の上昇期待と金利の高さなどから、多くの香港人や香港企業が人民元の投資や保有を行ってきた。しかし、先月の中国人民元切り下げにより、人民元から香港ドルへ戻しているようだ。

1997年のアジア通貨危機では、多くのアジアの通貨が売られたが、香港ドルは為替介入によりなんとか死守した。

今回の中国バブル崩壊では、香港ドルが買われる、という逆の現象が起こっている。

香港経済は中国経済に依存しているため、香港ドルが避難通貨には通常成り得ないのだが、皮肉なことに米ドルペッグ制により人民元の避難通貨として機能したようだ。しばらくは、香港ドル買いのトレンドは続くだろう。

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2015.09.07

中国企業株価大幅下落、香港株式市場への影響は?

8月の中国人民元切下げや上海株式市場の暴落により、世界中の株式市場では中国の実体経済の先行き不安を反映して、大幅な株価下落が続きました。その中でも、上海株式市場に最も影響を受けた地域は「香港株式市場」で間違いないでしょう。

香港市場が影響を受けやすい理由は、大きく2つあります。
1つ目は、香港が中国経済に大きく依存していること。
2つ目は、香港株式市場に多くの中国企業が上場しているためです。

香港株式市場に上場している中国企業は、H株やレッドチップと呼ばれています。

H株は、「資本と登記場所が中国本土」の上場企業のことを指します。
レッドチップは、「資本が中国本土、登記場所が中国本土以外(香港、ケイマン、バミューダ等)」の上場企業のことを指します。

香港株式市場のハンセン指数は、上位銘柄の約50社で構成されています。そのうち香港企業は24社、残りの26社は中国企業(H株9社、レッドチップ12社、その他5社)となります。

このように香港市場の時価総額の7割を占めるとされているハンセン指数であっても、中国企業は大きな割合を占めています。中国企業が多い理由としては、中国の市場より香港市場の方が上場し易く、資金調達が容易となっているためです。ハンセン指数ETFや香港ファンドを持っている方は、この機会にファンドの中身を確認することをお勧めします。

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2015.08.22

中国人民元切り下げ、香港への影響は?

中国人民銀行が8月11日~8日13日の3日間連続、人民元の対ドル為替レートの基準値を引き下げたことで、さまざまな論争が飛び交っています。

11日に1.9%、12日に1.6%、13日に1.1%という急激なペースでの引き下げが実施されたことに対して、意図的な為替操作であると米国からの批判も受けていましたが、香港から見た場合はどの程度の影響があるのでしょうか。

中国ではこれまで米ドルに合わせて人民元の上昇が続いており、実際の経済状況が通貨高に追い付いていない状況に陥っていました。

内需低迷、輸出減少による経済状況の悪化が目立っていた中国は、元安への誘導により主に輸出を促進するため、今回の切り下げに踏み切ったと考えられています。

この影響で、シンガポール、韓国、タイなどの米ドルに対する通貨安も継続し、市場の混乱が起こっています。ベトナムでも中国に対応するため2度にわたりドンの切り下げを行うなど、経済のバランスに変化が起ころうとしています。

人民元の切り下げを受け、香港を含め世界中の株式市場では中国関連企業の株価下落や、東南アジア関連企業の株価下落が目立っています。

香港市場では、8月20日時点で主要50銘柄で構成されるハンセン指数が5日続落し、年初来安値を更新しています。

中国経済への先行き不安から、投資家マインドの冷え込みが続くと予想されますが、香港では、短期的にはある程度の影響があるものの、長期的な観点では、10%~20%の切り下げが行われない限りはほとんど影響がないという予測が一般的です。

短期的な影響と、長期的な影響、次回のブログでは、香港の土地価格、消費活動への影響について少し掘り下げてみていきたいと思います。

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2015.08.12

香港は自由放任主義(レッセフェール政策)を放棄すべき

香港行政長官の梁振英(C.Y.Leung)氏が、今後の香港経済の発展のためには「自由放任主義(レッセフェール政策)」という考え方を放棄し、企業活動への政府の介入を促進すべきであると発言し、論争を招いています。

中国へ返還された後も「一国二制度」を維持し、イギリス植民地時代より引き継がれている自由主義経済の原則に従い高度な経済成長を遂げてきた香港ですが、今後シンガポールや韓国との間で競争力を保つためにはこの「積極的不介入主義」が足かせになると、梁行政長官は主張しています。

市場の競争に任せるボトムアップ型の経済政策でここまで成長してきた香港に対して、シンガポールのように政府が積極的に市場経済を管理するトップダウン型の政策で急速な発展を遂げた国家もあります。

自由放任主義が生み出した問題点として、梁行政長官はまず香港の住宅不足に触れており、対策として香港政府による土地利用計画の見直しや海の埋立て案があることを述べています。

また、「新シルクロード(一帯一路)構想」(中国を起点に欧州までを陸路と海路でつなぐインフラ開発構想)へ積極的に関与していく旨の発言もあり、中国本土の経済政策へ歩み寄る姿勢がうかがわれています。

しかし香港では、これまでの経済発展を支えてきたのは自由放任主義であるという意見が多く、自由放任主義の放棄に反対する声や「一国二制度」が今後守られていくのかとの不安の声があがっています。今後の香港政府の発言に注目する必要がありそうです。

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