「金融口座の自動情報交換制度」続報その3
前回に引き続き『金融口座の自動情報交換制度 / Automatic Exchange of Information (”AEOI制度”)』のお話です。今回は、AEOI制度の核となる「租税居住地の税務署への自動報告」から逃れられるかどうかを検証してみたいと思います。
AEOI制度の対象となる以下の2つのパターンで検証してみたいと思います。
1つ目は、日本居住者がHSBC銀行(香港)に個人口座を持っている場合
2つ目は、日本居住者が外国法人の株主となり、HSBC銀行(香港)に法人口座を持っている場合
===日本居住者がHSBC銀行(香港)に個人口座を持っている場合===
日本人の場合、口座開設時に提出した住所証明の国が「租税居住地(Tax Residence)」となります。
運転免許証等の日本の住所証明を提出された方は、「租税居住地は日本」となり、HSBCの残高は日本の税務署へ報告されます。
もし香港以外の住所で住所証明を提出された方は、その住所証明の国の税務署へ報告されるはずです。
そして香港の住所で住所証明を提出された方は、AEOI対象外となり、どこにも報告されることはありません。
そのためAEOI制度から逃れるためには、香港の住所証明をHSBCへ持って行き、登録住所の変更を依頼する必要があります。
HSBC銀行が認める住所証明は以下の通り。
1. 3ヶ月以内のステートメントや請求書等(公共料金、携帯電話、有料テレビ、税金納付書)
2. 香港の賃貸借契約書
3. その他、HSBCが定める書類(下記参照)
https://www.personal.hsbc.com.hk/1/content/hongkongpws/pdf/applyaccount_note.pdf
この中で日本居住者が手に入れられるものは、携帯電話のステートメントだけかもしれません。某電話会社では、香港IDがなくても保証金さえ払えばパスポートで回線契約可能です。しかし、宛先がオフィスビルの場合は住所証明として認められない可能性があるため、香港在住の協力者の住所を利用するのがいいでしょう。
===日本居住者が外国法人の株主となり、HSBC銀行(香港)に法人口座を持っている場合==
AEOI制度の対象となるのは外国法人の株主のみとなっており、役員は対象外となります。持ち株比率が何%の株主が対象となるかは、明確な指針がまだでていません。日本の税法を考えると、過半数以上の比率を持つ株主ということになるかもしれませんが、HSBC銀行では10%以上の株主の住所証明の提出も求めているため、10%以上かもしれません。
法人の株主となっている場合、AEOI制度から逃れる方法は2つです。
1.株主として登録住所を変更し、銀行へ通知する
これは上記の住所変更同様の手口を用います。まず、登記所の株主住所を変更して、銀行に住所証明とともに変更の依頼をするのが良いでしょう。
(注:登記住所を偽ることは違法です)
2.株主の名義を香港在住者に変更する
一般的なノミニー(名義貸し)の場合は、銀行に通知しているため最終受益者ベースで報告されます。そのため、信頼のできる香港在住者の名義を借りて、株主を変更することになるでしょう。しかしこの手法の問題点は、香港在移住の方がサイン変更をして銀行取引ができてしまう可能性があるということです。そのため、本当に信頼できる人でないと難しいのかもしれません。
上記以外の方法でも、金を購入して貸し金庫に入れる、AEOI制度非加盟国の銀行に預ける等の抜け道は若干あるようです。いずれにせよ、逃れることは一筋縄ではいかないようです。
本記事は違法行為を幇助するものではありませんので自己責任でお願いします。
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