パナマ文書でHSBCの口座開設が更に難しく
パナマ文書が大きく世間を賑わせています。
世界中のオフショア法人情報を管理していることで有名なパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から2.6テラバイトの情報が漏えいし、世界の大企業や富裕層、さらには政治家の資産隠しなどが暴露され各国の政治情勢にまで影響を与えている状況です。
イギリスのキャメロン首相、ロシアのプーチン、ウクライナやアルゼンチンの大統領、中国の習近平や毛沢東まで大物の名前が続々とパナマ文書に登場、アイスランド首相に関しては辞任にまで至りました。有名スポーツ選手や芸能人、日本の大企業の名前も取り上げられ、脱税やマネーロンダリングに関与していないか調査が進められています。2.6テラバイトという膨大なデータ量であるため全ての調査にはまだまだ時間がかかり、今後さらに詳細な事実が発覚しそうです。
このように大騒ぎの原因となっているオフショア法人の活用ですが、オフショア法人の活用自体が違法ということではありません。
「タックスヘイブン(租税回避地)の法人を活用」と聞くと、非常に怪しい会社と思われがちですが、金融の世界では一般的に使われているトラストなどのスキームに組み込まれています。世界的に有名な外資系の金融機関の持株会社がケイマン諸島にあるということは往々にあります。
しかし匿名性であるがゆえに、脱税やマネーロンダリングの温床になりやすいのは事実です。そして脱税やマネーロンダリングに対する政府の対策の厳しさは増しています。
例えば、2013年からアメリカで施工されている「FATCA」により、世界の銀行はアメリカ人の口座情報をアメリカ国税(IRS)に報告する義務がありますし、アメリカ以外でも2017年には「税務における金融口座の自動情報交換制度」が導入されるよう整備が進められています。
銀行口座に限らず、オフショア法人の匿名性に対する厳しさも増しており、2016年4月1日から 、BVI法人の役員は政府登記を義務付けられました。基本的に非公開である点は変わりませんが、必要があれば調査されやすくなったと言えます。
そして、パナマ文書で、ほぼ地球の裏側の香港にも影響がでています。
以下サイトにある、流出したデータの集計を見てみましょう。
https://panamapapers.icij.org/graphs/
・Top 10 countries where intermediaries operate?
会社設立の仲介業者が多い国トップ10は?
- 香港が1位です。
・Countries with the most active intermediaries
顧客数(会社設立数)が多い仲介業者はどの国に多い?
- 香港が1位です。
・The 10 banks that requested the most offshore companies for clients
オフショア法人が多い銀行トップ10は?
- HSBCが3位と4位です。合わせるとダントツトップです。
(1位は信託サービスなので銀行からは省いて考えました。)
つまり、、、香港やHSBCがマネーロンダリングの温床ではないか?と疑いをかけられやすい事態となっています。
今朝の報道でも、香港に仲介業者が最も多いという事実に基づき香港金融管理局(HKMA)が動き出しており、モサック・フォンセカを通して設立されたオフショア法人の銀行口座がないか各銀行にチェックをおこない関連資料の提出を要求しているとの情報が話題になっていました。
HSBCは2012年にアメリカ政府よりマネーロンダリングの罰金19億ドルを受けています。最近でも、BNPパリバに90億ドル、クレディ・スイスも26億ドル、アメリカ政府の対応に各金融機関が戦々恐々としている事態です。
このような状況なので、オフショア法人の香港での口座開設はますます厳しくなるでしょうし、オフショア法人のみならず香港法人についても徐々に開設が厳しくなるのではないでしょうか。海外での口座開設、運用を考えている方は早めの行動をお勧めします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
オフショア投資情報が満載!(ブログ村のランキングに参加中!)
是非クリックをお願いします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~